むし歯の治療
むし歯の治療はむし歯の進行度によって違う。
乳歯のむし歯
乳歯はやわらかく、簡単にむし歯になってしまう。また、一度むし歯になってしまうと、あっという間にひどくなり、口の中全部がむし歯になってしまうこともある。また、乳歯のひどいむし歯は、永久歯に悪影響を及ぼしたり、咬みあわせにも影響してしまう場合がある。
もし乳歯がむし歯になってしまった場合は、見た目を治すより、生活習慣の改善が必要。とりあえず痛みをとりのぞいてから、リスクコントロールをし、永久歯をむし歯にしないようにすることが重要。
永久歯のむし歯
穴があいてしまったむし歯でも、リスクコントロールによって穴の拡大や、むし歯の進行を止めることはできる。ただ、この穴は自然にはふさがらないため、処置が必要だ。
むし歯の処置は、まず、歯の中に入り込んだたくさんの細菌を除去・殺菌し、感染した象牙質を削り取ること。次に、削ってむき出しになった象牙質の部分をふさぎ、保護する処置をする。そして最後に削ってできた穴を、人工の材料(金属やプラスティック)をつめて、元の形を復元する。
むし歯の処置は、しっかり細菌を除去・保護し、歯の中の歯髄(しずい)を守ることが大切。
永久歯のむし歯治療
細菌に感染した歯質をしっかり除去しようとすると、どうしても痛みが出る。また、処置後に歯髄(しずい)がむき出しになり、痛むこともある。歯髄(しずい)を除去すれば痛みはなくなるが、歯は死んでしまう。また、歯を削る際に痛みのないように麻酔をすると、歯を削りすぎてしまう場合もある。
多少の痛みがあっても、ていねいに歯質を除去し、歯を守ることが大切な治療。
削らない治療
歯医者さんが嫌いな方は、歯を削るのが苦手だ、という人が一番多いのでは?最近では、削らずに感染した歯質を除去する方法がいろいろと工夫されているようだ。
■ エアブレイジョン
酸化アルミニウムの微粒子を高速で吹き付けて歯を削る方法
■ エルビウムヤグレーザー
レーザーで小さな爆発を起こし、歯質を蒸散させる方法
■ 薬液でやわらかくしてかき出す方法や音波振動の利用
歯医者さんが苦手でなかなか行けないという方は、「痛くない治療」を掲示している歯科医院を探しては?
神経を抜く治療
歯がズキズキと痛み出した時は、歯の中の歯髄(しずい)が炎症を起こしている。この場合の治療は、細菌に感染した歯質を除去するのですが、歯髄(しずい)が露出してしまう場合がある。こうなると、「感染を防いで歯髄(しずい)を生かす」「炎症のひどい部分を取り除く」「全部取る」のうちのどれかを選択しなければならない。
1.「感染を防いで歯髄(しずい)を生かす」場合
⇒あとで痛みが出たり、自然に歯髄(しずい)が死んでしまう。
2.「炎症のひどい部分を取り除く」場合
⇒この場合もあとで痛みが出たり、自然に歯髄(しずい)が死んでしまう。
3.「全部取る」場合
⇒痛みはなくなる。ただ、歯髄(しずい)がなくなると歯が死んでしまうから、歯がもろくなり、時間が経つと変色したり、歯根に膿がたまる場合もある。
ひどくなってしまったむし歯(歯髄までダメージを受けてしまった場合)は、神経を抜かないといけなくなる場合がある。(神経を抜くことを「抜髄(ばつずい)」と言う。)この処置は、炎症を起こしている歯髄(しずい)を除去し、骨の中に病気ができないよう歯髄(しずい)のあった穴をきれいにする。この治療を「根管治療」と言う。神経を抜いてしまった歯は、死んでしまい、もろく割れやすくなってしまう。
ひどいむし歯を放置しておくと、歯髄(しずい)が死んで腐敗し、歯を支える骨に膿がたまってしまうことがある。この場合は、死んでしまった歯髄(しずい)を取り除く「根の治療」「神経の治療」が必要。以前は、ここまでひどいむし歯の場合は、歯を抜かないといけなかったのですが、今では「根の治療」「神経の治療」で歯を抜かなくても済む。膿のたまったひどいむし歯を放置しておくと、あごの骨全体に炎症が起きてしまうので、きちんとした処置を受けることが大切。
「根の治療」「神経の治療」
この治療は、死んでしまった歯髄(しずい)をきれいに取り除き、根管内をきれいにし、出口をふさぐという処置。歯によって歯髄(しずい)が入っている穴の形は違い、なかには木の根のように複雑になっている場合などある。この穴の中を確実にきれいにするには時間がかかり、この処置をきちんとしないと、あとで痛みが出たり、再度膿がたまったりしてしまう。またこの処置は、骨の中の治療なので、直接目で見ながら治療することはできないため、X線写真で判断するしかない。
歯が根っこだけになってしまった場合の治療
むし歯を放っておくと、歯が根っこだけになってしまい、このような場合は、最悪の場合歯(根)を抜かなくてはならなくなる。もし、抜かなくても済む場合でも、治療に時間やお金がかかってしまう。このような状態になる前に治療をすることが一番ですが、もし歯が根っこだけになってしまった場合の治療には、いくつかの方法がある。
■ 歯(根)を抜いた場合
⇒入れ歯もしくはブリッジにする。
⇒人工の根っこを埋める(インプラント)。
■ 残っている根っこを使う場合
⇒歯ぐきの上に残っている歯の量にもよるが、金属などで土台(コア)を作り、そこにかぶせもの(クラウン)をする。